2018.9.13

周辺環境・施設環境・教育環境すべてに恵まれた「Picoナーサリ和田堀公園保育園」(杉並区 私立 認可園)

この記事のサマリ

1
保育園の目の前が和田堀公園と善福寺川となっており、園児は豊かな自然に親しめる
2
さまざまな特別教育の中に茶道を取り入れるユニークさ。その効果は小学校でも発揮されている
3
保育園運営に「生産性向上」の視点を取り入れることで生まれた余裕が、子ども達の成長をサポートする原動力になっている

「東京23区の保育園情報」を調査する、パパスマイルの「見たい知りたい 新設保育園レポート」。本シリーズは本や雑誌、インターネットだけでは入手しにくい、現場への取材で得た「正確で具体的な情報」をお伝えする。

第10回は2018年4月に開園した「Picoナーサリ和田堀公園保育園」。大変お忙しいなか、運営母体である「社会福祉法人 風の森」理事長の野上宏(のがみ・ひろし)様と保育事業統括 野上美希(のがみ・みき)様にお話を伺った。

真新しい「Picoナーサリ和田堀公園保育園」の外観。

周辺環境

目の前に善福寺川と和田堀公園があり、非常に豊かな自然環境。周辺の土地に住宅街も土地に余裕があり、日中は自動車の通行もほとんどない。

目の前には緑豊かな和田堀公園がある。
車通りはほとんど無い上に、車道と歩道が明確に区分されている。

アクセス

保育園の敷地内に大規模な駐輪場があり、安心して子どもを乗り降りさせることができる。またベビーカーなどを預けることも可能。

敷地内の駐輪場はかなり広い

セキュリティー・耐震性など

入口はオートロック・電子錠となっており、園内外16ヶ所に防犯カメラがある。2階建ての園舎には複数の避難経路が設けられている。また併設されている地域住民が利用できるカフェ(詳細は後述)と園内は安全面に配慮して別の出入り口が設けられており、室内のドアも電子錠がかけられ、行き来できないようになっている。

広々とした避難用階段
上層階からも安全に避難することができる

導入されているIoT機器類

園内には16ヶ所以上の防犯カメラが設置され、職員室では常時それらの映像が記録されている。またリクルート社が提供する連絡アプリ「キッズリー」を導入しており、子どもたちの登降園はタッチパネル(タブレット端末)で管理されている。

監視カメラの画像モニター

なおタブレット端末は2機しかないが、保護者のスマートフォンからも登降園に関する操作が可能な為、混雑することは無い(なお登降園時間を正確に記録する為、端末から数メートル範囲内でしか登降園操作はできないようになっている)。保護者は全員このキッズリーアプリを入れており、それを使用して保育園からの各種連絡も行われている。

子どもたちの登降園を記録するタブレット端末

また同園は最近いくつかの保育園で使われている「睡眠時モニター」などは導入していないが、国の基準の1.5倍の保育士を配置しており、特に0歳児は2人に1人の保育士が付いている。IoT機器については今後、その信頼性や効果を見ながら検討していく方針とのこと。

施設の特徴

同園は複数の事業者の公募により選ばれており、施設にさまざまな工夫が取り入れられている。中でも特徴的なのは園内に設けられた「育児相談カフェ」。子育て中の地域住民は無料で利用することができ、ゆくゆくはそこで保育士と育児について相談したり、育児セミナーを受講できるようになる、とのこと。

カフェの壁に掲げられた店名「Pico Baby & Café」
カフェ内部は20席以上
セキュリティ面からカフェの入り口は保育園の入り口とは別に設けられている

野上美希氏によれば、これからの保育園のあり方として「地域に開かれた保育園」を目指しており、今回のカフェ併設もその一環とのこと。地域との関わりを持たない保育園はどうしても近隣住民との関係が悪化しがちであり、子どもたちの健全な環境を守る為にも、よりソーシャルで開かれた保育園を志向しているというお話だった。

子どもたちが育てている野菜。近隣住民に配ることもあり、大変喜ばれている
敷地内に設けられた組み立て式プール
木製の広々としたテラス
ふんだんに木材が使われた園内

食事内容

「食べることを楽しんで欲しい」という同園の方針から、3〜5歳児についてはビュッフェスタイルを採用し、自分が食べられる量だけを取るシステムを導入している。また食育の一環として、絵本などに登場する食事「ストーリーメニュー(例:ぐりとぐらのカステラ)」が提供されることもある

食事する子どもたち
食事の際などに使われるイス。背もたれがない為、体幹が鍛えられる

保育のスケジュール・行事など

保育のカリキュラムの中で、「絵画」「体操」「英会話」「リトミック(音楽)」などの特別教育に力を入れている。また同園の母体である「久我山幼稚園」で実績のある「茶道」教育を取り入れており、園内に茶室が設けられている。その効果として子どもたちに「今は先生のお話を聞く時間」「ちゃんと座っている時間」ということを認識する力が養われ、小学校の先生などから非常に褒められることが多いとのこと。

園内に設けられた立派な茶室

<一日のスケジュール例>
7時30分:順次登園
8時30分:クラス別保育
9時50分:カリキュラムに沿った保育
11時00分:給食
16時30分:順次降園
18時30分:延長預かり保育
19時30分:閉園

運営方針・理念

「理念」は、「健全な成長と限りない能力の開花」というもの。子ども達は無限の可能性を秘めているという確信と、それを引き出してあげたいという想いが込められている。「保育目標」としては、「自然との関わりの中、心身ともに健康な子どもの発育を目指す」「子育て家族との信頼関係構築および地域との良好な関係の維持」「自己表現と人をおもいやれる情緒豊かな子どもの発育を目指す」などが掲げられている。

取材を終えて
最近は保育士不足が数多く叫ばれているが、同園では国の基準の1.5倍の保育士を確保し、とても付加価値の高い保育を実践されていると感じた。子どもたちの安全を確保するだけで精一杯という保育園も多い中、そのような保育が可能となる秘訣を伺ったところ、野上宏氏、野上美希氏は共に「長年に渡る学校法人の運営で蓄積された幼児教育に関するノウハウ」と「一般企業での勤務経験」を挙げられた。特に運営法人の経営に関わる方たちの「一般企業での勤務経験」が「巧みな人材マネジメント」や「生産性の向上」につながっており、それが保育園としての質を向上させる力になっているようだ。

同園の保育士用休憩室。とてもリラックスできる空間だ

近年は保育園の質にこだわる保護者が増えており、同園への入園希望倍率は大変なものだったようである。少子高齢化が叫ばれている昨今、いずれは保育園の質も厳しく問われる時代になるのではないだろうか。

主要データ

種別
私立 認可保育園
場所
杉並区 大宮1丁目
敷地面積
1250.6m2(うち園庭面積108.64m2
建物面積
882.14m2
定員
120名(0歳〜5歳)
保育士数
27名
運営母体
社会福祉法人 風の森

著者紹介

関 和幸

千葉県在住のフリーライター。不動産情報サイト「マイナビ賃貸」、横浜・湘南エリアの街情報サイト「はまれぽ.com」などでコラムを連載中。得意な取材分野は「不動産」「法律」「医療」「農業」など。インタビューによる自分史製作会社「わたしの物語」を主宰している。

わたしの物語
http://my-stories.jp/
スポンサードリンク
保育園レポート 一覧に戻る