2017.07.18

「ゆっくり育て一人ひとりの芽」という保育理念のもと、「一人ひとりを大切にする保育」。 「人」と「木」の温もりを感じさせる「赤堤ゆりの木保育園」(世田谷区 私立 認可園)

この記事のサマリ

1
「木の温もりの保育室・手作り遊具・おもちゃ」で、子供達の健やかな成長を支える。
2
「食事は保育の柱」と考え、「2週間1サイクルの献立」など、さまざまな工夫を凝らしている。
3
保育士にとっても働きやすい職場作りを念頭に、「くるみんマーク」の認証を受けている。
※「くるみんマーク」次世代育成支援対策推進法に基づく、子育て支援に積極的に取り組む企業等への厚生労働大臣認定マーク

「東京23区の保育園情報」を調査する、パパスマイルの「見たい知りたい 新設保育園レポート」。本シリーズは本や雑誌、インターネットだけでは入手しにくい、現場への取材で得た「正確で具体的な情報」をお伝えする。

第2回は2017年4月に開園した「赤堤ゆりの木保育園」。開園準備に大変お忙しいなか、運営母体である社会福祉法人 南町保育会の田代様と、同園の園長である金原様にお話を伺った。

真新しい「赤堤ゆりの木保育園」の園舎入口

周辺環境

近隣に小学校があり、道路はスクールゾーンに指定されている。また周辺はバス通りから一本入った閑静な住宅街。入口に面している道路は交通量も少ないとのことで、かなり安全と思われた。

取材に伺ったのは平日15時。ほとんど車通りはない。

アクセス

入園者は自転車か徒歩で通園する(自動車による送迎は禁止)。また近隣住民の迷惑になるため、道路への自転車の駐輪も不可。

保育園入口の敷地内に、自転車を乗り降りできるスペースがある

セキュリティー・耐震性など

入口はオートロック・電子錠となっており、園内外に複数の防犯カメラがある。また警備会社と契約している。さらに災害時等の緊急事態を想定した「引き取りカード」を発行し、身元確認を厳重にしている。また地震対策として年1回、保護者による「引き取り訓練」を行う予定。

2階からの避難経路。すべての部屋のバルコニーとつながっている。

施設の特徴

室内には木材がふんだんに使用され、非常に暖かみと明るさが感じられた。なお、住宅街のため、園庭の面積は必要最低限となっている模様。

木で作られたクラスの表札
教室の一例。遊具等は開園までに揃えられるとのこと
扉の隙間を塞ぐビニールカバー。子供達が怪我をしないよう、細かい工夫が施されている
整備中の園庭。これから遊具が入るとのこと

食事内容

食事を「保育の柱」と考え、地産地消・旬の素材を取り入れた献立を作っている。また添加物は使わず、昆布やかつおぶし、煮干しでだしを取るなど手作りをこころがけている。食事内容は子供の成長に合わせて、保護者と話し合いながら進めている(アレルギー対応含む)。なお、献立は2週間を1サイクルとしており、2週間が過ぎた時点で子供達の反応を見て「献立会議」で検討し、同じメニューの量・味つけ・切り方を改善する。「おやつ」についても軽食と考え、お菓子ではなく「麺類・パン・おにぎり」を出している。これらの取り組み、および決まった時間に食事をすることは保育園児の虫歯予防にも役立っているとのこと。

保育のスケジュール・行事など

0歳児について、内科医による月1回の定期検診が行われている。またその他の園児全員に対して、内科医および歯科医による検診が年2回行われている。一日のスケジュールは下記の通り。また行事については、正月・節分・ひな祭り・七夕・お月見などの伝統行事を大切にしている。

7時15分:登園受付開始
8時30分:各クラスに分かれて保育開始
11時00分:順次昼食、昼寝(0歳児は1日2回食事があり、別時間)
18時15分:保育時間終了
20時15分:延長保育時間終了

運営方針・理念

「保育理念」は、「ゆっくり育て一人ひとりの芽」というもの。また、「保育方針」として「待っているからね(温かいまなざしで、子どもが伸びようとする力の支えになります)」「ころんでもいいよ(つまづきや失敗をうけいれ、共感し受容することで、子どもの自信を育みます)」「これは何かしら(発見や驚き、好奇心を大切にしながら、子ども自身で考えられるよう、援助します)」の3つを定めている。また職員の姿勢として、「互いに支え合い、高め合いながら、その思いを共有し、『人』として『保育士』として成長し続けます」を掲げている。これらを通じて、「よくあそべるこども・自分のしてほしいこと、考えたこと、思っていることを言えるこども・仲間と力を合わせることを大切にするこども」を育てていくことを目指している。

園内のあちこちに飾られた手作りの人形
取材を終えて
同保育園の理念・姿勢は多くの保育士の共感を呼び、保育士不足が叫ばれる昨今、スムーズに保育士の定員が集まったそうである。なお同保育園の運営方針・保育スケジュールなどは、すべて運営母体である「南町保育会」のホームページ上で公開されている。このような情報公開に前向きな姿勢も、保護者にとっては安心できる要素ではないだろうか。

主要データ

種別
私立 認可保育園
場所
世田谷区 赤堤1丁目
敷地面積
586m2(145 m2)(うち園庭面積)
建物面積
540 m2
定員
63名(0歳児〜5歳児)
保育士数
14名(園長のぞく)
運営母体
社会福祉法人 南町保育会
URL
http://minami-fu.com/

著者紹介

関 和幸

千葉県在住のフリーライター。不動産情報サイト「マイナビ賃貸」、横浜・湘南エリアの街情報サイト「はまれぽ.com」などでコラムを連載中。得意な取材分野は「不動産」「法律」「医療」「農業」など。インタビューによる自分史製作会社「わたしの物語」を主宰している。

わたしの物語
http://my-stories.jp/
スポンサードリンク
保育園レポート 一覧に戻る