2017.07.25

「久我山エリア」で評価の高い「久我山幼稚園」の系列、子どもたちの可能性を伸ばす「特別教育」が特徴の「上高井戸保育園」(杉並区 公設民営 認可園)

この記事のサマリ

1
東京都が施設を建設し、民間事業者が運営を行う「公設民営方式」の保育園
2
「茶道」「絵画」「体操」「英語」「リトミック」など特別教育に力を入れている
3
保育士数を基準の1.5倍とすることで余裕をもって子どもを見守り、その興味や関心を伸ばす保育を目指している

「東京23区の保育園情報」を調査する、パパスマイルの「見たい知りたい 新設保育園レポート」。本シリーズは本や雑誌、インターネットだけでは入手しにくい、現場への取材で得た「正確で具体的な情報」をお伝えする。

第3回は2017年4月に開園した「上高井戸保育園」。開園してまだ1週間という大変お忙しいなか、運営母体である「社会福祉法人 風の森」の保育事業統括 野上美希(のがみ・みき)様にお話を伺った。

真新しい「上高井戸保育園」の園舎入口。上階は都営住宅になっている

周辺環境

近隣はマンションや一戸建てが並ぶ閑静な住宅街。交通量の多い通りから一本入っており、交通量は少なく、車道と歩道も明確に分離されている。

取材に伺ったのは平日13時。ほとんど車通りはない。

アクセス

入園者のほとんどが自転車で通園する。保育園の奥に駐輪場があり、安心して子どもを乗り降りさせることができる。なお、同園は杉並区の保育園であるが、2017年6月以降、特例として隣接する世田谷区や三鷹市からも入園することができる。

保育園内に駐輪場がある

セキュリティー・耐震性など

入口はオートロック・電子錠となっており、園内外に複数の防犯カメラがある。園舎は1階建て、かつ、すべての教室から園庭に直接出られるようになっているため、万一の際の避難は容易と思われた。また上階が都営住宅となっているが(2017年6月から入居開始)、落下物を防ぐために鉄製のフェンスが設けられている。

上階からの落下物を防ぐフェンス

施設の特徴

同園は公設民営という東京都が園舎の建設を担当する方式で作られ、施設設計がコストおよび機能性重視になっていたとのこと。そこで運営母体の社会福祉法人「風の森」のエッセンスを取り入れるため、専属デザイナーによる壁紙の装飾、靴箱の取り替え、各教室のプレート交換などを行い、個性的で暖かみのある園舎に修正している。また雨の日や各種行事などで使用されるホールと、都内では珍しい大きめの園庭がある。

木で作られたクラスの表札
動物達のシールで飾られた壁紙。当初は白無地だったという
教室の様子
園庭の様子。砂遊び場や鉄棒もある
多目的ホール

食事内容

保護者の要望により、食材産地の情報を毎日公開している。また「食育」も取り入れる予定で、区民農園を借りて園児が野菜を栽培・収穫し、それを自分たちで食べるだけでなく、保育園周辺の住民に配ることも検討しているとのこと。この活動は「風の森」が運営する他の施設でも行っており、特に周辺住民のシニア層に喜んでもらえるそうだ。

園内に設けられた調理室。かなり広い
食材の産地を公表している

また、「食べることを楽しんで欲しい」という考えから、3〜5歳児についてはビュッフェスタイルを採用し、自分が食べられる量だけを取るシステムを導入していく予定。

保育のスケジュール・行事など

「久我山幼稚園」で実績のある「茶道」教育を上高井戸保育園も取り入れる予定であり、4歳から茶道の実技が月1回、「久我山幼稚園」の茶室で行われる。久我山幼稚園の事例では、卒園時に「表千家」の免状がもらえるとのこと。また保育のカリキュラムの中で、「絵画」「体操」「英会話」「リトミック(音楽)」などの特別教育にも力を入れている。

<一日のスケジュール例>
7時30分:登園受付開始
8時30分:各クラスに分かれて保育開始
10時00分:カリキュラムに沿った保育
16時30分:順次降園
19時30分:延長預かり保育時間終了

運営方針・理念

「理念」は、「健全な成長と限りない能力の開花」というもの。子ども達は無限の可能性を秘めているという確信と、それを引き出してあげたいという想いが込められている。「保育目標」としては、「自然との関わりの中、心身ともに健康な子どもの発育を目指す」「子育て家族との信頼関係構築および地域との良好な関係の維持」「自己表現と人をおもいやれる情緒豊かな子どもの発育を目指す」などが掲げられている。

園から歩いてすぐのところに、緑豊かな玉川上水がある

またIT機器を使った効率化・情報発信にも力をいれており、保育園職員を受け付け横のディスプレイで紹介したり、日々の保育活動を写真付きで保護者に伝えるスマホアプリも取り入れている。

職員を紹介するディスプレイ
保育活動を伝えるアプリ画面
取材を終えて
子どもの可能性を信じ、それを最大限に引き延ばそうとする「特別教育」の内容に感銘を受けた。また「保育」は一瞬も目が離せず、緊張感の高い業務なので、休憩時間には保育士がリラックスして休憩し、気持ちをリセットできるようソファを置いた休憩室を設けているとのこと。このような考えは保育士と接する子どもにとっても、良い環境が与えられることになるだろう。
保育士の休憩室に置かれたソファー

主要データ

種別
公設民営 認可保育園
場所
杉並区 久我山1丁目
敷地面積
2,625m2(1,645 m2)(うち園庭面積)
建物面積
729 m2
定員
80名(1歳児〜5歳児。今年度に限り0歳児の受入も応相談)
保育士数
17名
運営母体
社会福祉法人 風の森

著者紹介

関 和幸

千葉県在住のフリーライター。不動産情報サイト「マイナビ賃貸」、横浜・湘南エリアの街情報サイト「はまれぽ.com」などでコラムを連載中。得意な取材分野は「不動産」「法律」「医療」「農業」など。インタビューによる自分史製作会社「わたしの物語」を主宰している。

わたしの物語
http://my-stories.jp/
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